高橋博之公認会計士・税理士事務所こうしきブログ

筑西市で会計事務所を経営しながら、中小企業の経営者に有益な情報をお伝えしていきます。

事業承継税制のデメリット①(雇用確保要件の実質的撤廃)【35日目】

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以前、ご紹介した「事業承継税制」について、政令・省令で詳細が判明した点について再度、ご紹介させていただきます。

 

「事業承継税制」の制度概要については、こちらの記事をご覧になって下さい。 

happy-manegement.hatenablog.com

 

改正前の「事業承継税制」のネックとなっていた雇用確保要件が実質的に撤廃されました。

 

改正前は、事業承継税制の適用後、5年間で平均8割以上の雇用を維持できなければ、納税猶予が打ち切られることとなっていました。

少子化や好景気の影響で深刻な人手不足の中、上記の雇用確保要件を充足することは中小企業にとって難しい問題ですよね。

また、事業承継税制の適用は経営者交代がセットとなっています。

経営者の交代を契機として、業績が悪化する可能性も低くはないでしょう。

業績が悪化した場合でも、雇用調整を難しくしてしまう原因ともなっていました。

 

改正後は、雇用確保要件がなくなったわけではありませんが、5年間で平均8割以上の雇用を維持できなかったとしても、直ちに納税猶予が打ち切られるわけではありません。

経営悪化等の理由により、雇用確保要件が充足できなくなった場合には、認定支援機関の指導・助言があれば、納税猶予が継続的に可能となりました。

 

この改正により、事業承継税制適用後のリスクがかなり軽減されることとなりました。

と言っても、雇用確保要件を充足できることに越したことはないので、事業承継前後の人員構成についても事前の検討が必要です。

ちなみに、雇用確保要件の対象となる従業員は、社会保険の適用対象となる従業員となっております。

 

 

「いい商品」を「稼げる商品」に(中小企業編)!【34日目】

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本日は、定期購読している『日経トップリーダー(2018年6月号)』の特集記事~「いい商品」を「稼げる商品」に~をご紹介したいと思います。

 

要約すると、

自社の商品やサービスに自信があったしても、必ずしも稼げているかというと高い壁がある。

その壁を乗り越えるには、真の顧客にとって「オンリーワン」の存在になる必要がある。

「オンリーワン」として顧客から認めてもらうために、「5つの問い」を自問自答してみよう。

その「5つの問い」とは?

①自社の商品、サービスが、顧客の「心を動かした瞬間」を見たことがありますか?

②自社の商品、サービスの「本質的な魅力」は、何でしょうか?

③その魅力に引き込まれる「真の顧客」は、どこに集まっているでしょうか?

④「真の顧客」に、自社の商品、サービスの「本質的な魅力」を伝えるため、「今、起こせるアクション」は?

⑤「真の顧客」に「本質的な魅力」が伝わったことを、どう確かめますか

ということです。

 

皆様も、実際にペンを執って、「5つの問い」に真剣に答えることで、稼ぎのヒントが得られるかもしれませんよ。

 

税理士事務所の値決め【33日目】

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前回は、『値決めは経営』という言葉について考察してみました。

今回は、税理士実態調査報告書の結果を参考にしながら「税理士事務所の値決め」について筆を執りたいと思います。

 

税理士実態調査報告書とは、日本税理士連合会が税理士会員に対してアンケートを行った結果を基に取り纏めたものです。

これまで10年1回の頻度で公表されており、直近の報告書は、平成26年4月に行われたアンケート結果を基に、平成27年3月に公表されました。

 

第6回税理士実態調査報告書によると、65.1%の税理士事務所は報酬規程を設けていないという結果でした。

正直、驚きですよね。

問い合わせがあった場合、どのように見積書を出すのでしょうか?

作ってみないと料金がわからない料理があったり、建ててみないと料金がわからない家があったとしたら、誰が頼むのでしょうか?

 

報酬規程を設けていると回答した会員のうち、67.3%は旧報酬規程を参考としているという回答でした。

平成13年の税理士法改正において、会則上の規定が廃止となり、現在では報酬規程は存在しません。

旧報酬規程は、売上高所得金額又は資本金額により報酬金額を規定するものでした。

所得金額は、会社の意思決定や景気の状況により大きく左右されるし、資本金額は会社の規模を適切に反映しているとは言い難いため、売上高に応じて報酬金額を決めるのが実際に多く運用されている方法なんだと推察します。

 

当事務所でも基本的には、売上高に応じて報酬金額を決める料金表となっています。

そこに、記帳代行の有無管理会計の要否訪問頻度などの顧客の要望に応じて最終的な料金が決まっていくという形です。

『値決めは経営』というだけあって、料金表を作るのは経営者の重要な仕事であると同時に、経営環境の変化に応じて常にブラッシュアップしていく必要があると考えています。

 

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『値決めは経営』【32日目】

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私が敬愛する稲森和夫氏(京セラ・KDDI創業者、JAL名誉会長)の言葉です。

稲森和夫OFFICIAL SITEによると、『値決めは経営』という言葉について、以下のように、説明がされております。

引用いたします。

「経営の死命を制するのは値決めです。値決めにあたっては、利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか、その価格決定は無段階でいくらでもあるといえます。

どれほどの利幅を取ったときに、どれだけの量が売れるのか、またどれだけの利益が出るのかということを予測するのは非常に難しいことですが、自分の製品の価値を正確に認識したうえで、量と利幅との積が極大値になる一点を求めることです。」

 

自分の製品の価値を正確に認識」について、掘り下げてみると、2つの意味があると思います。

まず、1つ目の価値は、製品やサービスを提供するにあたって、どれだけの原価がかかったのかという供給者側の価値

そして、2つ目の価値は、製品やサービスを買うにあたって、いくらなら払っていいのかという需要者側の価値

 

値決めを行う場合、価格は少なくとも供給者側の価値以上に設定する必要があります。

そうしないと、製品を作れば作るほど、売れば売るほど赤字になってしまうという状況になります。

一方で、需要者側の価値より価格が高いと、世の中に唯一無二のものでない限り、製品やサービスは売れなくなります。

競合他社や代替品の価格や品質を横目で見ながら、自社の製品の市場価値を見極める必要があります。

 

需要がある社会から求められている)製品やサービスを開発し、さらに、その価値を高めるために経営努力を行う。

市場での価値が高まったら価格改定値上げ)を行うプロセスを繰り返していくことが、中小企業の発展のために重要だと思います。

相続税申告書の添付書類が改正されました【31日目】

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相続税申告書の添付書類が改正されました。

今までは、『「戸籍の謄本」で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの』原本を提出する必要がありました。

しかし、平成30年4月1日以後に提出する相続税申告については以下のものが追加して認められるようになりました。

図形式の「法定相続情報一覧図の写し」(子の続柄が、実子又は養子のいずれであるかがわかるように記載されたものに限ります。)

 

この書類は平成29年5月から認められている『法定相続情報制度』に基づく証明書類であり、相続関係図を明らかにするものです。

銀行保険会社に対して相続手続きを行う場合に、「戸籍の謄本」の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を提出すれば足りるようになったため、手続きが簡素化されました。

しかし、税務署相続税申告書を提出する際には、従来の「戸籍の謄本」が要求されるという状況に変化がありませんでした。

いわゆる法務省財務省の縦割り行政ってやつですかね。

ようやく「法定相続情報一覧図の写し」で認められるようになりました。

 

さらに、今までは「戸籍の謄本」の原本の提出が必要でしたが、改正によって「戸籍の謄本」又は「法定相続情報一覧図の写し」のコピーでも構わないとのことです。

「戸籍の謄本」などの相続関係書類を収集するための費用も手間もかかることから、かなり良心的な改正なんじゃないかと評価しております。

 

ただし、贈与税申告書に添付する際の相続関係図を明らかにする証明書は、「法定相続情報一覧図の写し」ではなく、従来通り「戸籍の謄本」ですので、ご注意下さい。

国税庁リーフレットは掲載しておきますので、詳しくはそちらをご参照ください。

 

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税理士職業賠償責任保険ってどんな保険?【30日目】

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前回は、税理士に対する損害賠償が増えているという記事を掲載しました。

今回は、どのような場合に保険金が給付されるのかを見ていきたいと思います。

税理士が損害賠償を受けた場合に、いつも保険金が給付されるわけではないんです。

意外と、税理士本人も知らなかったりするので、注意が必要です。

 

たとえば、当初の申告時は1,000万円を納税したが、その後、税務調査があり、税理士の過失により間違いを指摘されて、500万円を追加して納税し、さらに加算税(罰金)として50万円を支払った場合…

 

まず、追加して納税した500万円は、もともと、納税者が納付すべき税額であったことから保険の対象外となります。

また、加算税(罰金)の50万円は、『過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、延滞税は対象外』となっていることから、保険金はおりません。

 

それじゃ、どのような場合に保険金がおりるのかというと…

本来500万円の納税でよかったにもかかわらず、税理士の過失により、税金の計算を間違えて、1,000万円もの税金を納税してしまっていたという場合が該当します。

 

具体的にいうと、消費税関係の届出書の提出の失念や誤りにより、過大に納税していた場合ですね。

これに関する保険金の支払いが最も多いです。

提出期限を1日でも過ぎてしまった場合には、税務署は受け付けてもらえませんので、消費税関係の届出業務は、当事務所でもかなり慎重にやっております。

 

これから増えてきそうなのは、『所得拡大税制』等の特例を、適用できるにもかかわらず、申告書に反映しなかった場合です。

所得拡大税制についてはこちらの記事をご参照下さい。

 

happy-manegement.hatenablog.com

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日本税理士連合会は、賠償リスクに備えて税理士職業賠償責任保険に加入することを、税理士に推奨しておりますが、そもそも、賠償案件が発生しないように、税理士事務所の品質管理体制を向上させてたり、クライアントとのコミュニケーションを円滑化させることが、根本的な解決方法なんだと思います。

税理士への損害賠償【29日目】

 

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皆さん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしだったでしょうか。

私は長期休暇があると生活リズムを崩し易いので、連休はあんまり嬉しくないんですよね。

どこ行っても混んでいますし…

お出かけと言えば、子供と近くの釣り堀に出かけたくらいです。

後は、ゴルフの練習したり、読書をしておりました。

 

今回は、税理士向けの月刊誌『税理』で「税理士損害賠償の予防ガイド」という記事を読みましたので、「税理士への損害賠償」というテーマで筆を執ります。

 

税理士が損害賠償を受けるケースは、他の士業(弁護士、公認会計士司法書士など)と比較して多いです。

その理由としては、税務調査があるためです。

税務調査時に税務署からの指摘により、追加の納税が発生することにより、申告書の作成ミスが発覚するというものです。

その場合には、損害額の算定が容易であるため、事件化され易いという特徴もあります。

 

クライアントからの損害賠償に備えて、「税理士職業賠償責任保険」というものが用意されております。

「税理士職業賠償責任保険」とは、税理士の過失により、クライアントから損害賠償を受けた際に、賠償を肩代わりしてくれるというものです。

 

「税理士職業賠償責任保険」を取り扱っている株式会社日税連保険サービスのHPによると税理士賠償責任保険の支払件数は、毎年、増加傾向にあるようです。

2016年は、支払件数が493件支払金額は約16億円となっております。

税理士の「税理士職業賠償責任保険」の加入率は約50%ですので、税理士に対する損害賠償を推定すると、年間で1,000件、金額で言うと32億円あるということになります。

 

個人の税理士事務所と税理士法人を合計すると全国で約25,000の事務所があります。

(コンビニが全国で55,000店ありますので、だいたい半分となります。)

確率でいうと、1,000件/25,000事務所で、4%の事務所が1年間の間に何らかの形で損害賠償を受けているということになります。

結構、多いですよね…

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次回は、「税理士職業賠償責任保険」の内容について、詳しくみていきたいと思います。