高橋博之公認会計士・税理士事務所こうしきブログ

筑西市で会計事務所を経営しながら、中小企業の経営者に有益な情報をお伝えしていきます。

事業承継税制のデメリット③(再免除の特例)【37日目】

 

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今回も前回に引き続き、「事業承継税制」についてご紹介させていただきます。

「事業承継税制」に関する過去の記事については↓をご覧になって下さい。

 happy-manegement.hatenablog.com

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今回は、経営環境変化による納税猶予の減免を受けるための条件についてご紹介いたします。

以下のような経営環境の変化により事業の継続が困難となった場合には、納税猶予の減免を受けることができます。

①過去3年間のうち2年以上赤字(赤字かどうかは経常損益で判断)

②過去3年間のうち2年以上売上高が減少

有利子負債の額が売上高の6月分に相当する額以上(役員借入金等は除く

類似業種の上場会社の平均株価を下回る

心身の故障その他の事由

上記の条件をみるとわかるように、経営環境が悪化した初期の段階で条件を満たすと考えられるため、ハードルはそれほど高くないように思われます。

 

しかし、譲渡、合併、株式交換等(解散以外の方法)により、納税猶予の減免を受ける場合は注意が必要です。

この場合、低廉な取引による過大な免除を防止するために、相続税評価額が2分の1以下の対価であった時には、2分の1の価額により減免額を計算することになります。

その後、再免除の特例の要件を満たすと、納税額の再計算による減免を受けることができます。

再免除の特例の要件は以下のとおりです。

①商品の販売、役務の提供などの事業を行っていること

②譲渡、合併、株式交換等の直前の常時使用従業員総数の2分の1以上が、2年を経過するまで引き続きその会社の業務に従事していること

事務所・店舗・工場などを所有し、又は賃借していること

 

文章だけだと、わかりにくいので具体的な数値で見ていきましょう(説明を分かり易くするために、納税額は実際の金額と異なりますのでご注意下さい。)。

 

相続税評価額

納税額

承継時

2億円

1億円

譲渡時

1億円

0.5億円

再免除時

0.6億円

0.3億円


承継時の株価総額が2億円の場合に、納税猶予額が1億円だったとします。

経営環境の悪化により、25年後に株式を0.6億円で売却したとすると、売却額を基に納税額が再計算され、0.3億円の納税となり、0.7億円は減免されるはずです。

しかし、譲渡時の対価が承継時の株価総額の2分の1以下であった場合には、株価総額を承継時の2分の1である1億円で売却したと仮定し、納税額が計算され、0.5億円が納税猶予となり、0.5億円が減免されることになります。

その後、2年後に再免除の特例の要件を満たしていた場合には、実際の売却額である0.6億円を株価総額として、納税額が計算され、0.3億円の納税となり、0.2億円は減免されることになります。

 

最終的には、売却額に応じて納税額が再計算され、差額は減免されることになりますが、2年間の再免除期間が必要だし、再免除の特例の要件を満たせない場合には、2分の1に対応する納税額しか免除されなくなってしまう可能性があります。

事業承継税制を適用後に、M&Aにより事業の売却を検討される場合には、株価総額が2分の1を下回る前に実行することをお勧めいたします。