高橋博之公認会計士・税理士事務所こうしきブログ

筑西市で会計事務所を経営しながら、中小企業の経営者に有益な情報をお伝えしていきます。

中小企業向け所得拡大税制③【46日目】

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今回も前回に引き続き、中小企業向け所得拡大税制について、ご紹介していきたいと思います。

前回確認しましたが、所得拡大税制を受けるための要件を再度、記載しておきます。

【要件①】

当年度給与等支給総額が前年度以上

 

【要件②】

平均給与等支給額が前年度比1.5%以上増加

 

税額控除額は平均給与のアップ率に応じて2つの場合があります。

❶通常の場合

(当年度給与等支給額-前年度給与等支給額)×15%

 

上乗せ措置

【要件②】の増加率が2.5%以上の場合で次のいずれか満たすこと

教育訓練費が対前年度比10%以上増加

経営力向上計画の認定を受けていること

(当年度給与等支給額-前年度給与等支給額)×25%

 

❶❷いずれの場合でも法人税額の20%が上限

 

今回は、上乗せ措置の要件のキーワードである『教育訓練費』とは何たるか…

について見ていきたいと思います。

 

【教育訓練の対象者】

法人又は個人のその事業に係る国内雇用者。

ただし、以下の者は対象外です。

(1)法人の役員又は個人事業主

(2)使用人兼務役員

(3)法人の役員又は個人事業主と特殊関係のある者(①役員の親族、②事実上婚姻関係と同等の事情にある者、③役員から生計の支援を受けている者、④ ②又は③と生計を一にする親族)

(4)内定者等の入社予定者

 

【対象となる教育訓練費の範囲】

(1)法人等が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)

①法人等がその国内雇用者に対して、外部から講師又は指導員を招聘し、講義・指導等の教育訓練等を自ら行う費用であること。

㋐講義・指導等の内容は、大学等の教授等による座学研修や専門知識の伝授のほか、技術指導員等による技術・技能の現場指導などを行う場合も対象となります。

㋑招聘する外部講師等は、当該法人の役員又は使用人以外の者であること。

(当該法人の子会社、関連会社等のグループ企業の役員又は使用人でも可)

㋒外部の専門家・技術者に対し、契約により、継続的に講義・指導等の実施を依頼する場合の費用も対象となります。

 

外部講師等に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類する費用であること。

㋐講義・指導の対価として外部講師等に支払う報酬等。(なお、外部講師等の個人に対して報酬等を直接支払った場合に限らず、法人から講師等の派遣を受けその対価をその法人に支払った場合の費用も対象となります。)

㋑講義・指導等の対価として支払う報酬等に限らず、当該法人等が負担する外部講師等の招聘に要する費用(交通費・旅費(宿泊費、食費等を含む))も対象となります。

 

③法人等がその国内雇用者に対して、施設、設備その他資産を賃借又は使用して、教育訓練等を自ら行う費用であること。

㋐当該法人の子会社、関連会社等のグループ企業の所有する施設等を賃借する場合も対象となります。

㋑その施設等が普段は生産等の企業活動に用いられている場合であっても、賃借して使用する者が、教育訓練等を行うために賃借する場合は対象となります。

 

施設・備品・コンテンツ等の賃借又は使用に要する費用であること。

㋐施設・備品等の賃借又は使用の対価として支払う費用(使用料、利用料、賃借料、借上料、レンタル料、リース料等)であること。教育訓練等のために使用されている契約期間であれば、その実際の使用期間に制約されません。

『施設、設備・コンテンツ等』の主な例示

・施設(例:研修施設、会議室、実習室等)

・設備(例:教育訓練用シュミレーター設備等)

・器具・備品(例:OHP、プロジェクター、ホワイトボード、パソコン等)

・コンテンツ(例:コンテンツDVD、e-ラーニング内のコンテンツ等)

 

教育訓練等に関する契約又は内容の作成について、外部の専門知識を有する者に委託する費用であること。

 

(2)他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)

①法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者に委託して教育訓練等を行わせる費用であること。

『他の者』の主な例示

・事業として教育訓練を行っている外部教育機関

(民間教育会社、公共職業訓練機関、商工会議所等)

・上記以外の一般企業

・当該法人の子会社、関連会社等グループ内の教育機関、一般企業

(当該法人と連結完全支配関係にある連結法人を含む)

 

②教育訓練等のために他の者に対して支払う費用(講師の人件費、施設使用料等の委託費用)であること。

 

(3)他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)

①法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者が行う教育訓練等に当該国内雇用者を参加させる費用であること。

㋐法人等がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等(研修講座、講習会、研修セミナー、技術指導等)に参加させる費用であること。

㋑法人等が直接又は間接に(国内雇用者を通じて)他の者に対し支払う費用であること。(当該国内雇用者が費用の一部を負担する場合は、その負担された金額を教育訓練費から除外する。)

 

②他の者が行う教育訓練等に対する対価として当該他の者に支払う授業料、受講料、受験手数料その他の費用であること。

㋐教育訓練等の講座等(研修講座、講習会、研修セミナー、技術指導等)の授業料、受講料、参加料、指導料等、通信教育に係る費用等(受験手数料は、教育訓練等の一環として各種資格・検定試験が行われる場合に対象となります。)

㋑法人等がその国内雇用者を国内外の大学院コース等に参加させる場合に大学院等に支払う授業料等聴講に要する費用、教科書等の費用(所得税法上、学資金等として給与に該当するものを除く。)

 

【対象とならない費用】

(1)法人等がその使用人又は役員に支払う教育訓練中の人件費、報奨金等

(2)教育訓練等に関連する旅費、交通費、食費、宿泊費、居住費(研修の参加に必要な交通費やホテル代、海外留学時の居住費等)

(3)福利厚生目的など教育訓練以外を目的として実施する場合の費用

(4)法人等が所有する施設等の使用に要する費用(光熱費、維持管理費等)

(5)法人等の施設等の取得等に要する費用(当該施設等の減価償却費も対象となりません)

(6)教材等の購入・製作に要する費用(教材となるソフトウェアやコンテンツの開発費を含む)

(7)教育訓練の直接費用でない大学等への寄附金、保険料等

 

(6)にあるように、書籍の購入費用は『教育訓練費』に対象とはならないようですね。

 

【教育訓練費等の明細書の記載事項】

(1)教育訓練等の実施時期:『年月』は必須、『日』は任意で記載

(2)教育訓練等の実施内容:教育訓練等のテーマや内容及び実施期間

(3)教育訓練等の受講者:教育訓練等を受ける予定、または受けた者の氏名等

(4)教育訓練費の支払証明:教育訓練等を受ける年月日、内容及び金額並びに相手方の氏名又は名称が明記された領収書等

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『教育訓練費』の根拠資料の保存も、手間がかかりそうな感じです。

 

【実務上の対応】

仕訳入力を行う際に『教育訓練費』という勘定科目で集計している内容と、上記で見た『教育訓練費』の内容が異なっていることが考えられます。

『明細書』の作成が義務付けられるのであれば、『教育訓練費』の勘定科目を再定義するよりも、所得拡大税制の対象となる『教育訓練費』の支払のみ抽出して集計した方が良さそうですね。